血液検査は、栄養状態の個人差を見る画期的な方法である

栄養素を大量に使う分子栄養学で治療を行うことは健康増進のためにサプリメントを飲む事とは根本的に意味が全く違う。

一般のサプリメントは、栄養の推奨量を食事で満たせていない人が、栄養欠乏を補うために摂取するものである。

それに対して、分子栄養学の栄養処方は、分子の働きを正常化するという医学的な目的のために、サプリメントを薬として使う方法論といえる。

この治療の一番難しいところは、サプリメントの必要量が人によって大きく違うところである。

分子栄養学の医師はそれを分かったうえで、とにかく大量に入れて、あとは人の持っている調節作用にまかせる、
言い換えれば、「大は小を兼ねる」という方法で治療を行ってきた。

サプリメントは薬と違って副作用がないと思っている人が多いが、そんなことはない。

たとえばビタミンCは、正式にはアスコルビン酸という名称である。
つまり酸なので、胃に対して刺激性がある。
また、10gを超えて大量にとった場合、下痢を起こすことがある。

分子栄養学は効果的な量と副作用を起こす量を考え、最適量を試行錯誤しながら決めていかなくてはならない。
これを扱う医師たちはそんなジレンマの中でこの治療をすすめてきた。

しかし、実は、これを解消する方法がある。
検査をして、その人の必要量を見極めることだ。
そのような個人差を見極めるための画期的な方法のひとつが血液検査である。

病院で血液検査を受けたことがある人はわかるかもしれないが、
一般的な検査は「病気」を見つけるためのものである。
たとえば、肝機能とか腎機能とかコレステロールが高いとか。

でも、ほかの見方もある。

とった栄養素は体内で酵素や補酵素として働くので、それらの量を測定すれば、どの栄養素が足りていて、どれが足りないかを推測することができる。
そう、健康診断に使われている各臓器の酵素活性の数値を栄養状態の見方に応用するのだ。

これは私達の世界では 「分子栄養学的な血液検査の見方」と呼ばれている。

血液検査は当たり前だが、病院でしかできない。
そして、病院で行われる血液検査は大きく分けて2種類ある。
健康保険の元に医師が指示する検査か、健康診断として行う血液検査かのどちらかである。

分子栄養学は、分子生物学が発達した近年こそ多くの医師にも認められるようになったが、一昔前は、医師には全く相手にされず、この治療によって劇的に治癒した患者仲間から始まった草の根運動的なものであった。

だから、病院に健康診断として血液検査のみを委託し、そのデータから栄養状態を読み取り、そのデータに基づいて栄養サプリメントを決めるという方法論が生まれた。

私の師匠はその草分けであり、その方法論に基づいて検査を受けた人は数万人にも及ぶ。

分子栄養学はアメリカ、カナダ、オーストラリアなどをはじめ、各国で行われているが、数万人単位で血液データを測定しながら、治療を行っている組織は日本以外に存在しない。

血液検査が乱用されている

そんな、素晴らしい血液検査だが、最近、その検査が濫用されているように感じる。

私のクリニックに来る患者さんは、サプリメント療法を2,3年続けているが
よくならないという人が少なくない。
ちゃんと血液検査をして、それに応じたサプリメントの処方を受けているという。

なぜ、そうなってしまうのか。

血液検査や尿検査の数値は栄養素の量を反映するものである場合もあれば、
そうでない場合もある。

例えば、ビタミンB群酵素活性は常にビタミンBの体内量を反映するわけではない。
フェリチンなど、体内の炎症やその他の状況(つまり血液検査本来の意義)
で大きく左右されるものもある。

また、血液検査は細胞外液検査であり、細胞内の情報量は乏しい(K,Mg,B12など)

治らない人は、そのようなデータに表れない情報を全く読み取らずに、表面上の数字だけを追って栄養が処方されていることが多い。

総蛋白の量が少しでも低いと、その人の消化吸収能力にかかわらずプロテインが処方されているし、その人の目標値がちゃんと設定されないまま、鉄が処方されていたりする。(フェリチンが200あるのに鉄が処方されている意味がわからない)

栄養療法は即効性において薬物療法には多少劣るものの、通常1-3ヶ月で最初の効果が表れる。

半年以上何の回復の兆しもないのであれば、それは栄養欠損以外に原因があるか、栄養療法の効率を邪魔しているものがあるかのどちらかと考えられる。
その場合、それがその病態の根本原因と考えられる。

実際、そのような例は少なくない。
というか、特に高齢の方になればなるほど、栄養療法だけですんなりうまくいく例のほうが少ないのが実情である。

現在私は、そのような根本原因をみつけて、それに対してのアプローチを行う治療法にシフトをして以来、より多くの成果を挙げられるようになった。

何よりも嬉しいのは、栄養療法の邪魔をするものを除くことによって、栄養療法の切れ味が何倍~何十倍にもなることである。

この方法がうまくいくかは、「どんな栄養素をどうやって使用するか」にとらわれている思考をいかに開放するかにかかっていると思う。

そういう私も、数年前までは、栄養療法が全てを救うとばかりにサプリメント一本やりであったが、今になって、自分の視野の狭さを少しは冷静に見られるようになってきたところがあるかもしれない。

「はじめにサプリありきではない栄養療法」

これが最近の私のトレンドである。

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