子宮内膜症の根本原因は内分泌かく乱物質と炎症とエストロゲン

子宮内膜症は、本来子宮内にしかないはずの子宮内膜組織が子宮以外の場所で増殖する病気です。これは月経に伴って出血し、骨盤内に炎症や癒着を引き起こすため強い月経痛を引き起こし、生活の質を低下させます。

原因不明と言われる子宮内膜症の治療は対症療法が主体ですが、子宮内膜を増殖させる働きをもつ女性ホルモンエストロゲンの過剰にも目を向けてみましょう。

ここではエストロゲンの過剰となる様々な原因と対処法について紹介します。

子宮内膜症とエストロゲンの深い関係

子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が子宮以外の場所で増殖する病気です。

その組織が出血を起こすと、体内で炎症を起こし、周辺組織と癒着して痛みや不妊の原因となります。また、卵巣に発生するとチョコレートのう胞と呼ばれる血液が貯まる袋が形成され、破裂や卵巣がんのリスクが高まります。

主な症状として骨盤内の痛み、不眠、性交痛、月経困難症が見られます。

Hum Reprod. 2011 Jun;26(6):1555-9

子宮内膜症患者は年々増加の一途にあり、現在日本での患者数は 260 万人以上と推計されています。子宮内膜症の原因は不明とされていますが、エストロゲンを増やす環境要因に負うところが多いとされています。

子宮内膜症の原因治療の専門家であるアリゾナ大学医学部統合医療センター医長のフェリス・ガーシュ医師は、子宮内膜症を発症させる要因として「内分泌かく乱物質への暴露」、「免疫失調と慢性の炎症」、「アロマターゼ酵素の増加」を有力視しています。

これらの要因は全てエストロゲンを増やし、結果子宮内膜の増殖を亢進させてしまいます。

内分泌かく乱物質にはエストロゲンと同じ働きがある

エストロゲンは女性ホルモンの一種で、生殖に関わる他に子宮内膜など細胞の増殖を促す働きを持っています。エストロゲンが働くためにはエストロゲン受容体に結合する必要があります。

実はエストロゲン受容体に結合できるのはエストロゲンだけではありません。エストラジオールと構造が似ている内分泌かく乱物質も同様に受容体に結合し、子宮内膜を増殖させます。

エストラジオール

ビスフェノールA

子宮内膜症の環境病因と成りうる内分泌かく乱物質として重金属、ダイオキシン、有機汚染物質、およびフタル酸エステルなどが確認されています。
Fertil Steril. 2016 Sep 15

ビスフェノールA(樹脂の原料)

合成エストロゲンの1つとして研究されていたこともあるプラスチックの材料です。水・食品の容器や、壊れにくいため哺乳瓶や歯科材料にも使用されています。酸性や高温の液体に接触すると溶け出す事がわかっています。

厚生労働省食品安全部基準審査課「ビスフェノールAについてのQ&A」http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/topics/080707-1.html

ダイオキシン

毒性の強い有機塩素化合物で、特にプラスチックを燃やすと発生します。日本ではダイオキシンの8割はごみ焼却炉から発生するとされ 1997年の測定では大気中ダイオキシン濃度は欧米の10倍であることがわかっています。1997年2月WHOが「発癌物質」として認定しています。

ダイオキシン類排出量は、廃棄物焼却施設からの割合が多い
http://www.kcn.ne.jp/~azuma/news/July2000/000724.htm

重金属

鉛、カドミウム、水銀は内分泌かく乱物質である可能性が高いと言われています。

近年、アジア各国におけるエネルギー需要の高まりから火力発電所が増加し、その影響で大気に放出される水銀が増加しています。大気から海に落下した水銀は生物濃縮し、特に食物連鎖の頂点に位置する大型魚に蓄積します。

アジア地域における水銀排出量は全世界の50%を占めています。厚労省は妊婦に対してクジラやマグロの摂取量制限を呼びかけています。

カドミウムは、土壌に蓄積しており、農作物から吸収されます。特に気を付けるべきは玄米です。他には近年アルミニウムも内分泌かく乱作用があるという報告があります。

子宮内膜症患者では血中カドミウム濃度が高かった
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18192673
魚の水銀汚染、起源は石炭火力発電所
http://www.huffingtonpost.jp/2013/09/05/mercury_levels_fish_n_3872076.html妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/index-a.pdf

免疫の失調と炎症の持続がエストロゲンを増やす

子宮内膜症患者の病変を顕微鏡で見ると、肥満細胞の浸潤と炎症性物質の増加が見られます。
Hum Cell. 2003 Sep;16(3):141-9.

月経血や子宮内膜の細胞は月経のたびに子宮、卵管を通ってお腹の中に逆流します。月経血に含まれる鉄は酸化ストレスを生み出す原因となります。

肥満細胞は炎症を起こす物質を大量に持っており、ストレスに対して活性化すると無差別攻撃をしかけます。炎症物質を撒き散らし、他の炎症細胞も巻き込むのです。免疫系を活性化し、顆粒球、マクロファージ、リンパ球などを呼び込んで炎症反応を増大させ、さらに肥満細胞を活性化させます。

エストロゲンには炎症を抑える働きがあり、炎症があればエストロゲンが多く作られます。
さらにストレスがこの悪循環を悪化させます。

逆流する月経血中の鉄が酸化ストレスを生み出す
Fertil Steril. 2016 Oct;106(5):1011-1017
腹膜内の免疫細胞低下が子宮内膜症発症に寄与する
Minerva Endocrinol. 2012 Mar;37(1):75-92.
ストレスは動物モデルにおける子宮内膜症発現および炎症パラメータを悪化させる
Reprod Sci 2012 Aug; 19(8):851-62。

エストロゲンとアロマターゼが増加している

アロマターゼはテストステロンをエストロゲンに変える酵素です。子宮内膜症では病巣にアロマターゼの発現がみられ、その影響で局所的に作られるエストロゲンが子宮内膜症の増殖・進展に関与しています。
Int J Womens Health. 2012; 4: 61ー65.

エストロゲンは炎症物質であるプロスタグランジンE2を介してアロマターゼ酵素活性を増加、さらにエストロゲン産生を誘導します。
Semin Reprod Med. 2004 Feb;22(1):45-50.

根本原因への対処法

内分泌かく乱物質への暴露を避ける事にはじまり、食事やサプリメントケアを行うだけでも画期的な成果を上げる事が出来るという報告が多くあります。

内分泌かく乱物質への暴露を少しでも減らす

プラスチックへの使用を極力減らしましょう。場合によっては焼却施設に住んでいる場合は引っ越しをしたほうが賢明かもしれません。

重金属に関してはまず毛髪ミネラル検査をやってみましょう。カドミウムは米、水銀は魚か歯の詰め物、鉛は古い水道管などが大きな暴露源になっています。

重金属の影響が過度にある場合はキレーション治療も考慮する

重金属への暴露が十分に疑われる状況なのにもかかわらず、毛髪検査で排泄が見られない場合、体から排泄する力が低下している可能性があります。そのような時はキレーション治療が必要かもしれません。

これは重金属に親和性の高い薬剤を投与する事で、金属を吸着し体外に排泄する治療です。水銀や鉛にはDMSA、カドミウムやアルミニウムにはEDTA製剤が好相性です。キレーション治療はかかる負担を考え、体調を万全にして臨むことが望ましいでしょう。

また、ファスティング(断食)で解毒するという選択肢もあります。ファスティングは正しく行えば治療に匹敵する効果を得ることができます。

過剰なエストロゲンを代謝する

閉経前女性は主に卵巣で細胞増殖作用の強いエストラジオールが作られますが、閉経後は卵巣が萎縮し代わりに副腎と脂肪組織でエストロンが作られるようになります。

これらのエストロゲンは肝臓で代謝され水酸化エストロゲンに変化しますが、その時に働く酵素によってはがんを増殖させる悪玉エストロゲンが増える事があります。

その場合は、これらのエストロゲンをメチル化して代謝させること、また善玉エストロゲンを増やすためアブラナ科の野菜や発行大豆食品の摂取を増やすことが推奨されます。

善玉エストロゲンと悪玉エストロゲンの比率はホルモン分析検査によって知る事が出来ます。

全身の炎症を抑制するにはまず食事から

身体の一部の慢性炎症が原因となって他の臓器にも炎症が及ぶ場合があります。これを病巣感染といいます。炎症は免疫反応を引き起こしますが、リンパ球は絶えず全身のリンパ組織を循環しているため、全身の免疫反応が活性化します。

原因としては、扁桃炎,虫歯,副鼻腔炎などの他に腸内環境異常も関連すると考えます。
腸にはリンパ球の60%が集まっているため、免疫反応に大きく関わります。

腸内環境を整え、腸の炎症を抑制するためには食事内容を整えることが重要です。食物繊維を豊富に含む複合炭水化物とオメガ3系脂肪酸を多くとることを中心に、炎症がひどい場合にはカゼイン、グルテンフリーダイエットが必要かもしれません。

また、動物性脂肪の過剰摂取は炎症を促進します。

高脂肪食を与えたマウスは腹腔内炎症物質が増加し、子宮内膜症が増加した
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27175969

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抗酸化対策サプリメントをうまく活用する

子宮内膜症の進行に酸化ストレスが関連します。酸化ストレスは、腹腔内の炎症の悪循環を加速させるのです。

子宮内膜症の進行に酸化ストレスが関連https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16820124

骨盤痛、子宮内膜症および不妊の女性にビタミンEビタミンCを8週間投与したところ、慢性疼痛、月経困難症および性交疼痛が軽減した。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3484190/

レスベラトロールαリポ酸は強力な抗酸化剤であり、多くの炎症抑制の報告があります。

レスベラトロールが子宮内膜症マウスの腹腔内炎症性物質を減少させたhttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25462211

レスベラトロールでマウスの子宮内膜症が小さくなった
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23536571αリポ酸がマウスの腹腔内酸化ストレス、炎症サイトカインを減少
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28429826

フィッシュオイル(EPA/DHA)には、炎症を抑制しDNA損傷を防ぐ効果があります。

魚油の補給は、マウスの子宮内膜症の癒着の形成を妨げる
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3582352/

また、クルクミンは強力な抗炎症作用に加えてアロマターゼ活性を阻害しますし、ケルセチンも抗酸化作用に加えて肥満細胞を安定化させます。

まとめ

月経のたびに病状が進行する疾患なので、一般的には薬を使って月経を止める(人工的に閉経や妊娠状態を作り出す)方法がとられていますが、「手術をしない限り閉経まで続く可能性がある疾患」とされている以上、根本原因にアプローチする事は決して無駄にはならないでしょう。


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