有機酸検査で何がわかるの?

有機酸検査は、少ない負担でとても多くの情報が得られる、栄養療法における最初のスクリーニング検査としてとても優れた検査です。

朝一番の尿を摂るだけで74項目もの様々な栄養と代謝のプロフィールを見ることができます。

具体的にどのようなことがわかるのかを説明します。

もともと自閉症児に対する検査です

有機酸検査といっても、新生児スクリーニング(先天性代謝異常などの疾患を早期に発見する検査)で行われる稀な病気に対する検査ではありません。

米国疾患コントロールセンターで自閉症、精神疾患についての研究を行っていたウイリアム・ショー博士が自らの経験をもとに独自に作り出したものです。

先月に行われた講演で彼はこう言っていました。

「 自閉症の子供において、尿中で上昇している物は微生物に関連している。

多くの医師は、自閉症は遺伝子由来だと主張したが、私は遺伝子に依存しない原因がここにあると確信し、この研究を続けた。 」

彼は腸内微生物と尿中に出てくる物質の関係について様々な論文を発表し、それを元にグレートプレーンズ研究所を設立し有機酸検査を作り上げました。

腸内環境の乱れをみることができます

この検査は、「腸を見ることができる尿検査」と理解するのがよいでしょう。

時には便検査よりも腸の状況を的確に判断できるのです。

腸と脳は非常に強いつながりを持っていますので、私はほとんどの患者さんに便検査を行っているのですが、なかなか疲れがとれない方にはこの検査がお勧めです。

ところで、なぜ尿検査をすることで腸内の状態がわかるのでしょうか?
そこがこの検査の重要な点です。

尿検査と言っても、尿を培養するのではありません。
腸に住んでいる酵母菌の産生物を見ているのです。

この産生物は分子量が小さいため、正常の消化管でもある程度は吸収され、門脈から肝臓、腎臓を経由して、尿細管から排出されます。
だから尿検査をすることで消化管で何が起きているかを間接的に見ることができるのです。

抗生剤を使えば、酵母菌が増え、善玉菌が減り、酵母菌が産生する物質も増加します。
よってアラビノース、酒石酸の産生量はカンジタ症の間接的なマーカーとなります。

神経伝達物質の量をみることができます

多くの精神疾患で脳内のドーパミンレベルが高いことが報告されています。

過剰のドーパミンは神経細胞を傷つけることは有名です。
ノルエピネフリンに転換されなければなりません。
それを見るのが有機酸検査のHVA/VMA比率です。

ノルエピネフリン不足に対して、単純に材料のフェニルアラニンやチロシンをサプリメントで追加しても解決にならない事が多いですが、それはドーパミン→エピネフリンの変換が妨げられているからです。

これが妨げられる原因は、ビタミンC不足、そして腸内のクロストリジウムです。

このように腸内細菌と神経伝達物質は密接に影響し合っているのですが、クロストリジウムと神経伝達物質、ビタミンC不足をすべて網羅している検査というのはこの有機酸検査をおいて他にはありません。

このように有機酸検査は、全ての検査項目が有機的につながりをもつように、設計されています。

ミトコンドリアの機能を見ることができます

ミトコンドリアは人間の細胞内にある体内のエネルギー産生工場です。この工場はビタミンやミネラルなどをエネルギー源にして動いています。

ミトコンドリアの機能が落ちる原因は様々です。(ビタミン、ミネラル不足や重金属、化学物質汚染、腸内環境の乱れや肝臓や腎臓機能の低下など)

有機酸検査ではミトコンドリアの回路を構成する物質を測定しており、回路が回っているのか、もし止まっていたらどこで止まっているかということがわかるようになっています。

ち密に計算されつくした検査です

そうなんです。

有機酸検査は、ショー博士が研究の末に、脳と腸で何が起こっているかがわかるように必要な検査項目を全て組み入れた総合検査です。

この検査でここが上昇していたら、次はここを見る、というようにすべてがつながっており、そのつながりを辿っていくことで、患者さんのストーリーが語れるようになっているんです!

それだけではありません。

  • ドーパミン過剰によって産生される酸化ストレスマーカーとして、グルタチオンのレベルもわかります。
  • 神経伝達物質の産生に重要なメチレーションの状態もみることができます。
  • 新生児スクリーニングでも行われるアミノ酸代謝異常もカバーしています。

つまり、ショー博士が自分の研究の集大成として全てを詰め込んでいるんです。

検査からストーリーを読み取れるようになれば、こんなにお得な検査は他にありません。

精神を患っている方はもちろん、慢性疲労の方、慢性腸疾患を持っている方にも是非一度受けて頂きたい検査です。

有機酸検査でわかること

  • 腸内環境の乱れ(特にイースト、クロストリジウムの過剰増殖)
  • ミトコンドリアの機能障害(栄養不足、重金属、化学物質汚染などによっておこる)
  • 三大栄養素がうまく使われているか(脂質、糖質がうまく使えない人もいます)
  • メチレーション回路が回っているか
  • 神経伝達物質(ドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニン)のバランス
  • 体内の炎症
  • シュウ酸の蓄積
  • ビタミンB群、ビタミンCの過不足

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